一戸建ての維持費を解説【マイホームの維持費を把握して失敗を回避する】

マイホームの建築には、一般的に住宅ローンを利用する方がほとんどです。 賃貸に家賃を支払い続けるのは「もったいない!」と感じ、毎月の家賃と同額の住宅ローン返済であれば、「全然問題ない!」と安易に考えるのは危険かもしれません。
実際には、月々の返済に加え、毎年の固定資産税や火災保険、将来的に必要な修繕費用の積み立ても必要です。
さらに、マイホームの建築後は現状と比較すると光熱費も高くなる傾向にあります。

しかし、その一方で住宅ローン控除などの優遇措置も受けることができます。

この記事では、マイホーム建築後の維持費について詳しく解説していきます。

目次

固定資産税と都市計画税

固定資産税は、1月1日時点での土地と建物の所有者に対して課税され、通常4月頃に納税通知書が届きます。
固定資産税は、車の税金とは異なり、基本的に4回に分割して納税されることが一般的です。 また、都市計画税は項目が分かれているものの、不動産を所有している方に課される同じ税金です。固定資産税と都市計画税が合算された納税通知書が届くことになります。

税率は以下のようになります。

種類固定資産税(税率)都市計画税(税率)
土地固定資産税評価額の1.4%固定資産税評価額の0.3%
建物固定資産税評価額の1.4%固定資産税評価額の0.3%

固定資産税評価額とは、購入した土地や建物の価格ではありません。一般的な目安は以下になります。

【土地】固定資産税評価額は、土地価格の7割程度が目安です。
【建物】固定資産税評価額は、建物価格の5~7割程度が目安です。

固定資産税評価額は3年に1度の見直しがあり、建物の評価額は古くなるにつれて減額していきます。
さらに、2026年3月31日まではマイホームを新築するとほとんどの場合に固定資産税の軽減措置が適用されます。

具体的な軽減措置の内容は、次に解説していきます。

固定資産税の軽減措置

種類要件固定資産税都市計画税
住宅床面積50~280㎡3年間 1/2に軽減
※120㎡までが上限
※長期優良住宅は5年
軽減無し
床面性50~280㎡
3階建以上の耐火、準耐火構造
5年間 1/2に軽減
※120㎡までが上限
※長期優良住宅は7年
軽減無し
土地土地の広さが200㎡までの部分評価額が1/6に軽減評価額が1/3に軽減
土地の広さが200㎡を超える部分
(建物の床面積の10倍までを上限)
評価額が1/3に軽減評価額が2/3に軽減

これまで解説してきたように、あらたに新築した住宅にはほとんどの場合、1年目から3年間は建物の固定資産税が半額に軽減される制度があります。ただし、軽減措置の対象となる条件があります。

例えば、店舗併用の住宅などの場合、固定資産税の軽減を受けるためには、居住部分の割合が1/2以上であることが必要です。これは、居住用の住宅としての利用が主体であることを示す条件です。

また、土地についても固定資産税の軽減が適用されています。土地に居住していることが要件であり、期間の定めがなく200㎡までは固定資産評価額が1/6に軽減されます。200㎡を超える部分は1/3の評価額で計算されます。このように、土地の一部分が住宅用途として利用されている場合に、軽減措置が適用されます。

新築住宅の固定資産税シュミレーション

上記で解説した軽減措置を含めた、具体的な例を挙げて以下の設定で固定資産税額を算出します。

種類価格面積
土地1000万円330㎡
建物2000万円115㎡

仮に、上記のような新築マイホームを建築した場合の固定資産税及び都市計画税を解説していきます。
約100坪の土地を1000万円で購入し、35坪の建物を2000万円で建築した場合の概算シュミレーションとなります。
また、土地の評価額を7割で算出し、建物の評価額を6割で算出いたします。

不動産の種類税金の種類評価額概算の税金額
建物固定資産税1200万円
(6割評価)
1200×1.4%×1/2=8.4万円
都市計画税1200万円
(6割評価)
1200×0.3%=3.6万円
土地固定資産税424万円
(7割評価×200/330)
424×1.4%×1/6=0.99万円
276万円
(7割評価×130/330)
276×1.4%×1/3=1.29万円
都市計画税424万円
(7割評価×200/330)
424×0.3%×1/3=0.43万円
276万円
(7割評価×130/330)
276×0.3%×2/3=0.55万円

上記の設定でシュミレーションした場合、土地と建物の固定資産税及び都市計画税の合計は、おおよそ年間で15万円程度になります。
しかし、建物の固定資産税は4年目以降に軽減措置が無くなるため、年間で20万円を超える税額になります。後述に、詳しく解説していきます。
この税金は一括で支払うか、4回に分けて支払うことができます。

建物の固定資産税は、都市計画税を含めて年間で12万円となります。新築から3年間は税額が1/2になる軽減税率を適用した金額になります。
ただし、3年後には固定資産税の評価額が見直され、評価額は少し減額されていきますが、軽減措置がなくなるため、実際の課税金額は4年目以降に上がることになり、その後は徐々に下がっていきます。

3階建て以上の準耐火及び耐火建築物は5年間にわたって軽減措置が延長されます。さらに、長期優良住宅も5年または7年間に期間が延長されています。

一方、土地の固定資産税は、都市計画税を含めて年間で3.26万円となります。
200㎡までの土地には1/6の軽減措置を適用し、200㎡を超える部分にも1/3の軽減措置を適用しています。土地の評価額は基本的に年々下がることはありませんが、将来的な土地の価値に応じて評価額も上下する傾向があります。

一般的な住宅の場合、月々の出費で計算すると約2~3万円程度の固定資産税が必要になることを覚えておいてください。

火災保険料

住宅ローンを利用して新築を行う際には、火災保険に必ず加入することが必要です。現在の商品では、最大の期間は5年間の保険期間となっています。火災保険に関する詳細は以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。

火災保険の商品には、保証内容や保険会社によって異なる点がありますが、一般的な5年間の保険期間の商品は、保険料として3万円から15万円程度が相場となっています。

住宅ローンの返済

住宅ローンの支払い額は、借入金額、返済期間、そして金利によって異なります。単純に現在の家賃と比較するだけでなく、マイホーム全体にかかる年間の住宅維持費を考慮して、適切な借入金額で計画を進めることが重要です。

さらに、住宅ローンを利用する方には、一定の要件を満たすことで住宅ローン控除を利用することができます。この制度について詳しく解説いたしますので、参考にしてください。

住宅ローン控除について知ろう

2023年時点での住宅ローン控除は、年末時点でのローン残高に対して0.7%を最大で13年間、所得税と住民税から控除できる仕組みです。

ただし、借入残高の最大控除額は、住宅の性能によって異なり、また個々の収入によって控除できる額も変わってきます。そのため、実際に最大限の控除を受けられない人も多いでしょう。

自分自身が支払っている所得税や住民税を把握し、住宅ローンの借入額に対してどれくらいの控除が適用されるのかを知っておくことが必要です。以下では控除の内容について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

新築住宅ローン控除を受ける条件

まずはじめに、新築住宅の住宅ローン控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 住宅取得日から6ヶ月以内に入居し、そのまま居住し続けること
  2.  適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること
  3. 床面積の2分の1以上の部分が専用住居であること
  4. 控除を受ける年の所得合計額が2,000万円以下であること
  5. 入居年とその前後2年以内に、譲渡所得の課税の特例(3,000万円特別控除、買い換え特例など)を受けていないこと
  6. ローンの返済期間が10年以上であること
  7. 床面積(登記簿面積)が50㎡以上で、その1/2以上が居住用であること
    ※2024年末までに建築確認取得すれば40㎡に緩和(所得要件:1000万円以下)

住宅ローン控除の概要

この制度は2021年に4年間の延長が決定し、2023年時点での情報として、2025年の12月末まで新居に入居した方が住宅ローン控除の対象となります。さらに、2022年には控除の利率や期間に変更があり、住宅性能に応じて借入の限度額が細分化されました。

詳細な情報は以下の表にまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。

住宅性能の種類入居時期
(2022~2023年)
入居時期
(2024~2025年)
長期優良住宅・低炭素住宅5000万円4500万円
ZEH水準省エネ住宅4500万円3500万円
省エネ基準適合住宅4000万円3000万円
その他の住宅3000万円0円
(※2023年中の建築確認済みは2000万円まで対象になり期間は10年間)
※子育て世帯・若者夫婦世帯が2024年に入居する場合には、2022~2023年の水準を維持することが決まりました。(2024年4月に閣議決定されました)
子育て世帯・若者夫婦世帯とは・・・
  • 19歳未満の扶養親族を有する者
  • 40歳未満で配偶者を有する者
  • 40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者

上記の表の通り、住宅の性能によってローン借入残高の対象範囲が異なります。この対象範囲を上限にして、年末のローン借入残高の0.7%を所得税から最大で13年間控除することができます。

さらに、所得税から控除しきれない場合は、住民税からの控除も利用することができます。ただし、住民税からの控除は課税所得金額の5%、もしくは最大で9.75万円が上限となり少ない方の額が控除されます。

要するに、借入残高の0.7%の金額よりも所得税額が少なくても、住民税からさらに控除できる金額は最大で9.75万円までとなります。そのため、最大限に控除を利用することはできない場合があります。

自分自身の所得税額をしっかりと把握し、借入金額に対してどれくらいの控除が受けられるのかを認識しましょう。そして、無理のない返済計画を立てることが重要です。

光熱費をしっかり把握する

新築住宅の光熱費は、地域や設備、住宅の性能、ご家族の使い方によって異なります。
希望する設備や住宅の性能に合わせて、「光熱費がどれくらいかかるか?」をできる限り正確に把握しておくことが重要です。
スタートから計画が狂ってしまわないよう、具体的な対策方法を以下に解説していきます。

新築住宅の光熱費を把握するための対策

光熱費をできるだけ正確に把握する具体的な方法は、以下の2点です。

経験者のリアルな話を聞く

知人なども含めて施工会社にはこれまでに建築した顧客がたくさん存在します。担当の営業マンや、場合によっては他の営業マンにもお願いをして、自分の条件と類似している顧客の光熱費を積極的に聞いてみましょう。
類似している顧客とは、【地域・設備・建物規模・家族構成・使用量】など、できる限り同じような条件下での詳細を確認するようにしましょう。

ガス会社や電力会社にシミュレーションを依頼する

設備や間取りがある程度決まってきたら、ガス会社や電力会社に光熱費のシミュレーションを作成してもらうことが可能です。

これらの方法で、光熱費についてしっかりと把握しておきましょう。予想外の高額な光熱費を回避し、快適な暮らしを実現するために、計画段階から慎重に検討しましょう。

修繕費用は必ず必要になる

将来的に必要な修繕費やメンテナンス費用は、住宅の性能や設備によって大きく異なります。
それだけでなく、修繕やメンテナンスにかける金額は個人の考え方や経済的な余裕によっても大きく変わることも事実です。

もちろん、定期的なメンテナンスや修繕を行えば、家を長く美しい状態で保つことができます。しかし、全ての修繕にはお金がかかります。だからこそ、生活に支障をきたすような大きな故障を除いて、現状維持や修繕を後回しにしている人も多いのが現実です。

しかしそのような状況でも避けて通れないのが修繕費用です。屋根の板金や外壁の塗り替え、コーキングの交換などはよく耳にする修繕項目でしょう。放置しておくと建物の内部までに影響を及ぼす可能性があります。また、給湯器や暖房器具、エアコンなどの設備も、ある時点で交換や修理が必要になるでしょう。

過去に行われた修繕費用に関する様々な調査から、築30~35年頃までの修繕費用は平均で500万円程度と言われています。更に、新築から30年以上経過した住宅を対象にした別の調査では、約8割の人が修繕費用を積み立てていないという結果も出ています。

もし生活に支障をきたすような故障が発生した場合、預金も積み立てもない状況ではリフォームローンを利用するしか方法がありません。この場合、住宅ローンの返済中に金利の高い新たなリフォームローンを同時に返済することになります。

施工会社によっては修繕の計画シュミレーションや修繕積立金の目安表を提示してくれるところもありますが、
修繕費用を積み立てる目安としては、最低でも月々1万円からできれば2万円程度の積み立てが理想的とされています。

マイホーム維持費の大切なポイント

これまで、マイホームの維持費について詳しく解説してきました。
住宅ローンの返済に加えて、「固定資産税」「火災保険」「修繕費の積み立て」が必要となることがわかります。
これらの3項目だけでも、月々に最低でも2.5万円以上の維持費が必要という事実があり、さらに光熱費もかかります。

現在の賃料に比べて、「同等の返済額であれば住宅ローン控除も利用できて、さらに税金が戻ってくるからお得だ!」という考えは安易過ぎるでしょう。
自分の所得税額をしっかり把握し、借入金に対してどれくらいの控除が受けられるのかを理解しましょう。また、建物の固定資産税は4年目から軽減がなくなるため、負担が大きくなることも覚えておくべきです。

住宅ローン控除で還付される税金は、固定資産税の支払いや修繕費の積み立てに活用することがおすすめです。

住宅ローン控除の期間が終わる14年目には、建物の固定資産税評価額は一般的に半分以下になることが想定されます。
しかし、仮に半分程度の評価額になっていたと想定しても、新築当初3年間は1/2の軽減税率になっているため、当初の3年間の税額よりも少し下がるくらいの認識になります。

マイホーム建築の時期には個人差はありますが、お子さんが小さな頃に建築し住宅ローン控除が終わる頃には義務教育が終わり高校受験や大学受験などのお金が多くかかる時期になるケースが非常に多いです。

住宅ローン控除の還付金を生活費に使うような生活では、あまりにも計画性がありません。
将来のことを考え、賢くマイホームを管理しましょう。

マイホームの予算を組む為におすすめな記事は以下になりますので、参考にしてください。

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