不動産会社や施工会社の営業担当者から「土地情報は業界内でほとんど共有されていますので、安心してください」と言われることもあるかもしれません。実際、8割以上の情報は共有されています。
しかし、公開されていない情報や未共有の情報も存在します。もし土地が見つからなかったり、候補地があっても決められない場合は、情報源を広げることが有効です。
また、「土地探しはハウスメーカーと不動産会社のどちらに依頼すべきか」と迷う人も多いでしょう。施工会社は住宅の建築が主な仕事で、不動産会社は土地や物件の情報提供がメインです。
土地を売りたい人は、ハウスメーカーではなく不動産会社に相談するため、不動産会社にはまだ共有されていない新鮮な情報があることもあります。
特に、条件が厳しく土地がなかなか見つからない場合は、複数の不動産会社にも依頼をすることで、新たな情報が得られる可能性が高まります。
- ハウスメーカーと不動産会社の土地情報の違いが
- 土地情報が共有されるまでの流れ
- 不動産ポータルサイトの仕組み
- どんな土地情報が公開されないのか?
- 土地情報の囲い込みに遭った場合の対策
ハウスメーカーと不動産会社の土地情報の違い
ハウスメーカーの土地情報
ハウスメーカーの営業担当者が土地を探す際は、基本的には以下の方法で土地の情報を収集しています。
ハウスメーカーからの土地情報
- 不動産業界で共有されている土地情報
- 関連する不動産会社からの土地情報
- 自社で仕入れをした建築条件付きの土地情報
不動産会社の土地情報
不動産会社の土地情報は、不動産業界で共有している情報のほかにも、共有される前の土地情報や他社へ共有する必要のない土地情報がある場合があります。詳しくは後述で解説していきます。
不動産会社からの土地情報
- 不動産業界で共有されている土地情報
- 情報を他社へ共有する前の新鮮な土地情報
- 情報を共有する必要のない土地情報
ハウスメーカーでは、不動産業界で共有されている土地情報を中心に提案をしています。さらに、ハウスメーカーと関連のある不動産会社からの土地情報も追加で紹介を受けることがあります。
一方で不動産会社は、ハウスメーカーと同じく不動産業界で共有される土地情報を中心として提案をしますが、自社が直接的に売主から土地の売却を依頼され、他社へ情報を共有する前の新鮮な土地情報や、他社へ情報を共有する必要のない土地情報も存在することがあります。
後述で詳しく解説しますが、土地情報には他社へ共有しなくてはならない土地情報と、共有する必要のない土地情報があります。
建築条件付きの土地とは?
建築条件付きの土地とは、特定の施工会社で建物を建てることが条件となっている土地のことです。このため、建物の設計や施工をその会社に依頼することが求められます。多くの場合、注文住宅や規格住宅のプランが利用されます。
施工会社側のメリット
施工会社にとっては、土地の販売と建物の建設を同時に進められるため、効率的な営業が可能です。土地を気に入ってもらえれば、建物の受注も見込めるという大きな利点があります。
購入者にとってのデメリット
一方で、購入者の中には「土地は気に入ったが、別の施工会社で建てたい」という要望を持つ方もいます。このような場合、選択肢が限られるため、自由度が低く感じるかもしれません。
8割程度の情報は共有されている
不動産業界で共有される売り土地情報は、地域によって多少異なりますが、全体の約8割ほどが共通のデータベースに掲載されています。
このデータベースは「レインズ」と呼ばれる不動産業者専用の検索システムです。不動産会社や施工会社の営業担当者も、主にこのシステムを使って売り土地の情報を提供しています。
しかし、すべての情報が共有されているわけではありません。特定の不動産会社だけが持っている独自の情報や、まだ公開されていない準備中の土地情報、何らかの理由で非公開となっている情報も存在します。
以下では、情報がどのように共有され、なぜ一部の土地情報が共有されないのかについて詳しく説明します。
土地売却の手順と情報が共有されるまで
まずはじめに、土地の所有者が売却を決意し、不動産会社へ相談する段階から買主を募集するまでのステップを見ていきましょう。
売主は、可能な限り高値で売却したいと一般的には考えるでしょう。
一つの不動産会社の話だけを聞いて売却を任せる人もいれば、複数の不動産会社と商談して一番信用できる会社に任せる人もいます。また、複数の不動産会社に同時に依頼する方法もあります。
土地や家屋を売却する際には、依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。また、媒介契約には大きく分けて3種類の形態があります。
取引形態 | 内容 | レインズへの登録 | 売主への報告義務 |
---|---|---|---|
一般媒介契約 | 他の不動産会社にも委託可能 | どちらでもよい | 特になし |
専任媒介契約 | 他の不動産会社には委託不可 | 7日以内に登録 | 2週間に1回以上 |
専属専任媒介契約 | (自己発見取引も禁止) | 他の不動産会社には委託不可5日以内に登録 | 1週間に1回以上 |
土地情報を共有するかどうかは、窓口となる不動産会社と売主の契約形態で異なる訳です!
いずれかの取引形態で不動産会社と媒介契約を結び、土地の売却を開始します。
依頼された不動産会社は、自社のホームページや利用している不動産ポータルサイトに情報を掲載して集客をはじめます。
一般媒介契約は、複数の不動産会社に物件の売却を依頼できる契約です。
ただし、この場合、不動産会社が利用する「レインズ」という物件検索システムへの登録は義務ではなく、任意となります。そのため、登録しなければ他の不動産会社が情報を見ることができず、情報が共有されないことになります。
一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約では、売主が他の不動産会社に売却を依頼することはできません。
この契約の場合、レインズへの登録は義務付けられており、指定された日数以内に登録を完了させる必要があります。
レインズに登録することで、他の不動産会社も物件情報を閲覧でき、情報が共有される仕組みになっています。
不動産会社は専任媒介契約や専属専任媒介契約を希望する
専任媒介契約や専属専任媒介契約を結ぶと、売主は他の不動産会社に売却を依頼できなくなります。不動産の売買契約では、不動産会社は売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ることが可能です。
そのため、不動産会社が直接買主を見つければ、両者から仲介手数料を得ることができます。また、他の不動産会社が買主を紹介した場合でも、売主は契約した不動産会社に仲介手数料を支払う義務があります。
不動産会社にとっては、たとえ自社で買主を見つけられなくても、土地が売却されれば利益が出るため、大きなメリットです。
売主の視点では、専任媒介契約や専属専任媒介契約には通常、3か月の有効期間があります。もしその期間内に売却が進まない場合は、他の不動産会社に依頼を変更することが可能です。
「早く売却したい」と考える方にとっては、これらの契約が有利です。さらに、レインズへの登録が義務付けられているため、物件情報は多くの不動産会社に共有され、売却のチャンスが広がります。
一般ユーザーが利用する不動産ポータルサイトの仕組み
ユーザーは、施工会社や不動産会社に直接訪れる前に、まずインターネットで土地情報や施工会社の情報を探すことが一般的です。全国的に知られている不動産ポータルサイトとしては、SUUMOやアットホームが有名です。
不動産会社は、これらのポータルサイトに物件情報を掲載するため、運営会社と契約を結びます。掲載される物件情報には、自社が直接受けた売買情報や、レインズを介して他社が窓口となった売買情報が含まれています。
ユーザーがこれらのサイトで物件を閲覧し、問い合わせをすることで、不動産会社は集客を増やすことができます。
同じ物件が複数の不動産会社から掲載されていることに気づくかもしれませんが、これはレインズを通じて情報が共有されていたり、売主が複数の不動産会社に依頼しているケースもあります。
どのような情報が共有されないのか
これまでに不動産情報の共有や、一般ユーザーへの情報公開手順について解説してきました。以下では、具体的にどのような土地情報が一般のユーザーに見えてこないのか解説します。
一般媒介契約で窓口になった不動産会社が情報を掲載していない場合
具体的な例としては、売主の売却意思はあるが特に急いで売りたいわけではなく、売主と不動産会社の関係性が強い場合です。
このような場合、一般媒介契約を結び、情報をレインズに掲載する必要もなく、関係性が強く急いでいない売主は他の不動産会社にも委託する必要もありません。
そのため、不動産会社は自社でゆっくりと買主を探すことができます。また、悪意のある業者の場合、ポータルサイトに情報を掲載し集客して、同業者からの問い合わせがあっても適当に断ることも事実上は可能です。
売主の都合による情報の非公開
売主の都合により、情報が一般ユーザーに流通されないこともあります。 その理由は売主によって異なりますが、わかりやすい例としては「知人や親戚に売却の意図が知られたくない」といったものが考えられます。
売却により現金が入ってくるため、情報を限定することは理解できます。 私自身も以前、営業マンとしてレインズをよく利用していましたが、一部の情報はネット上での掲載が不可とされていた情報もあります。
他にも、売主との商談中や売却準備中の物件、さらには業者の意図的な理由で公開されていない情報も存在することがあります。
不動産会社は、一般媒介契約で売り土地の情報を得た場合でも、できるだけ自社で買主を見つけたいと考えます。これは、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取れるためです。
理想の土地情報が見つからない場合や、判断に迷うときは、探している地域の不動産会社に足を運んでみるのも有効です。売却予定の土地の周辺店舗を構えている不動産会社には、情報が集まっていることもあります。
不動産会社による土地情報の囲い込み
以前から、一部の不動産業者による売却案件の囲い込みが問題視されています。囲い込みとは、ある不動産会社が他の不動産会社に売却案件を紹介させないようにする行為です。
例えば、専任媒介契約を結んだ不動産会社は、3か月以内に買主を見つけると、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ることができます。これにより、報酬が倍増します。
不動産会社としては、できるだけ自社で買主を見つけたいため、他の業者から問い合わせがあった際に「すでに取り引き中」などの理由で断ることがあります。
たとえ土地が1~2か月売れなかったとしても、3か月以内に自社で買主を見つければ問題ないという考え方です。
もしかして土地情報の囲い込みされてる!?対策はあるのか?
不動産業界では、過去にインターネットで条件に合う土地を見つけて不動産会社の営業担当者に確認したところ、既に申し込みがあって取引中と言われた土地が、再び新着物件としてインターネットに掲載されることがあります。
このような状況では、以下のようなことが考えられます。
- 申し込みがあったが、何らかの理由でキャンセルになった場合
- 実際には申し込みがあるが、集客のために業者が情報を更新している場合
- 囲い込まれている可能性がある場合
- 担当の営業担当者が何らかの不都合な理由で嘘をついている場合
再度、営業担当者に確認してキャンセルの事実を確認できれば理想的ですが、他の理由の場合は、最終的に売主の窓口となっている不動産会社に直接確認する以外に方法はありません。なお、レインズは不動産業者専用のシステムであり、一般のユーザーは閲覧できません。
ここで、一つ可能性のある対策をご紹介します。完全な解決策とは言えませんが、売主の窓口となる不動産会社を特定する手助けになるかもしれません。
おすすめするのは、「不動産ジャパン」というサイトです。
不動産ジャパンは、レインズと同じく公益社団法人不動産流通推進センターが運営する不動産ポータルサイトです。ここには、多くの不動産業者が扱うレインズの情報が掲載されています。
このサイトで掲載されている情報は、基本的に他社が同じ案件を扱っていることはないため、該当の物件が掲載されていれば、その不動産会社が売主の窓口である可能性が高いです。
直接問い合わせることで、該当の土地を購入できる可能性もありますが、「囲い込みされているかも知れない!?」という経緯をしっかり把握し、悪質な業者でないか慎重に判断することが大切です。
土地の買付申込はどこの業者に依頼する?
ハウスメーカーや工務店から同じ土地の紹介を受けることはよくあります。住宅メーカーを選択する際は、どちらが先に紹介したかは重要ではなく、予算や住宅性能を考慮して、最終的に決定する施工会社を通じて買付申込を行うことが一般的です。
しかし、なかなか見つからなかった土地をある不動産会社から紹介された場合、他の不動産会社や施工会社で買付申込が可能であっても、その選択をするのは基本的にNGです。業者の信用や営業担当者との相性など理由は様々ですが、できるだけ紹介してくれた会社に依頼するのが望ましいです。
また、施工会社がまだ決まっていない状況で買付申込を入れたい場合もあります。例えば、「施工会社は決まっていないけれど土地が他社に取られるのは困る」や「2社で迷っているが相見積もりで判断したい」といったケースです。
こうした状況で、最終的な決定がまだ不明な施工会社から買付申込を入れてしまうと、後から他社に切り替えるのが難しくなることがあります。詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
マイホーム計画のポイント!!
これまでに、土地情報の実態や、土地情報が公開されるまでの仕組みについて解説しました。
マイホームの土地探しでは、個々の生活スタイルにより地域が限定され、さらに予算の範囲もあるのでそう簡単には理想の土地に出会うことはできません。また、複数の不動産業者と連絡を取り合うのは大変で、人によっては大きなストレスにもなります。
しかし、土地探しの窓口を広げることは、知らない情報に出会えるチャンスがあり、複数の業者を比較して検討することは、後に後悔を生む可能性を下げてくれます。できる限り複数の会社を比較して、満足度の高いマイホーム計画を進めていきましょう!
マイホーム計画のポイント!
- 余裕を持った予算を立てる
- 世帯収入で予算を決める際は、長期的に収入を維持できるか考える
- マイホームの維持費を把握しておく
- 住宅ローンは必ず比較して好条件の銀行を選択する
- 変動金利は金利上昇の懸念にも配慮する
- 住宅メーカーは必ず複数を比較して候補を決める
マイホームの維持費は、予算を立てる上で重要な判断基準となります。維持費の試算が甘いと、返済計画が狂ってしまう要因になります。
また、住宅メーカーを比較することで、それぞれのメリット・デメリットに気付き易くなり、営業マンの提案や知識も異なるので新たな気付きがあることもあります。
マイホーム計画で後悔する理由はさまざまですが、原因は「知らなかった」「気付かなかった」の2つです。しっかりと比較検討して、後悔のないマイホーム計画を進めていきましょう。
ハウスメーカのーの資料請求サービスを利用する場合は、以下の比較表を参考にして下さい。
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総合 カタログ | あり | あり | あり | あり | あり | ||
間取り集 カタログ | による | メーカーによる | メーカーによる | メーカーによる | メーカーによる | メーカー||
事前の 間取プラン提案 | なし | なし | なし | あり | ※メーカーによる | ありなし | |
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見積作成 | もらえる | 打ち合わせ後もらえる | 打ち合わせ後もらえる | 打ち合わせ後もらえる | 打ち合わせ後業者紹介前にもらえる | もらえる | 打ち合わせ後もらえる | 打ち合わせ後
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