土地とハウスメーカーどっちが先?【施工会社の候補を先に決める順番の理由】

マイホーム計画では、土地と建物のトータル金額を予算として考えますから、土地の選定やハウスメーカーなどの施工会社の選定は同時に行う必要性があります。

しかし、探し回ってやっと「素晴らしい土地が見つかった!」と思っても、施工会社の候補が決まっていないとスムーズに話を進めることができません。

まず、良い土地が見つかってから施工会社を検討している最中に、土地は他者に取られてしまう可能性があります。

一方で、土地の買付申込を行い、施工会社を検討する方法もありますが、最終的な決定を判断するまでの期間は通常2週間程度しかありません。

2週間の期間で、施工会社の比較をして候補を絞り込み、そこから見積や図面の作成を依頼し、金融機関の事前審査を行い、最終的な判断をしなければなりません。はっきり言って2週間では無理です。

土地の買付申込を行う時点では、「正式な見積依頼する施工会社が決定している」もしくは、「正式な見積依頼する施工会社の候補が決定してる」状態であることが望ましいです。

買付申込と図面や見積の依頼は、ほぼ同時のタイミングでないと時間が足りません。

マイホーム建築において、正式に土地を決定するには、以下の3点が必要です。

  • 土地の買付申込
  • 施工会社の決定
  • 金融機関の事前審査完了

良い土地が見つかってから施工会社を探すのでは、その間に該当の土地が他の人に取られてしまう可能性が高くなります。

理想の土地が見つかった場合、土地の買付申し込みから土地決定までの流れを把握することで、先に施工会社を決める理由が明確になります。また、どの業者に土地の申込みを依頼するのが最適かを把握することができます。

この記事では、以下の問題を解決できます。

  • 土地より先に施工会社を決める理由が明確になる
  • 土地の買付申込をどの業者に依頼すれば最適なのかわかる

ほとんどの人は、マイホーム計画の資金を金融機関からの融資で賄います。金融機関では通常、土地と建物をセットで考えて審査や融資の手続きを行います。

もちろん、土地の購入費用を現金で支払う方もいらっしゃいますが、数年後に建物を建てるために、土地の費用だけを融資してもらうことは基本的にできません。

不動産会社や施工会社の営業担当者は、お客様にとって魅力的な土地情報が出た時に、「このエリアは人気があり、他のお客様も探しているので早めに売主にオファーしましょう」と提案することが一般的です。

不動産会社から提案された土地が非常に魅力的だけど「まだ施工会社が決まっていない」という場合や、下見に行った施工会社から魅力的な土地情報を提案されたけれど「この施工会社はあまり信頼できないなぁ」と思うことも、マイホーム建築を進めた人々にはよくある経験です。

この記事では、円滑に土地探しを進めるための不動産業界の仕組みについてわかりやすく解説しています。

目次

施工会社が決まっている方へ

施工会社が決まっている方へ【イメージ画像】

まずはじめに、こちらの記事は施工会社が決定している方は対象外になります。

施工会社が完全に決定していて、「あとは希望の土地が見つかるのを待つだけ」という方は、 依頼する施工会社の営業マンや、他の不動産会社に希望の土地探しを依頼してください。

施工会社へ依頼する際には、施工会社の営業マンが直接的に土地を探したり、施工会社とタッグを組む不動産会社からの土地紹介を受けることになります。

施工会社により異なりますが、土地の仲介手数料の割引を適用してくれる施工会社もあるでしょう。 マイホームの建築依頼が前提となるため、仲介手数料を割り引いても建築事業で利益が出れば良いという考えでしょう。

しかし、希望条件に合う土地がなかなか見つからない状況であれば、できるだけ複数の不動産会社に声をかけた方が、よい土地の情報に巡り合える可能性は上がります。

基本的には、施工会社は建築工事を依頼してもらえれば良いので、どこの不動産会社を仲介業者にしようと、それほど大きな問題ではありません。

土地を見つけてから決定するまでの手順を把握しよう

土地を見つけてから決定するまでの手順を把握しよう【イメージ画像】

買付証明書は、売主に対して購入意思を伝える文書と考えていただいても構いません。

確かに、人気のエリアやあなたが選んだ素晴らしい土地には他の候補者も存在するでしょう。 考えている間に他の不動産会社や施工会社から申し込みが入ってしまうことも珍しくありません。

しかし、購入者からすると「色々な土地情報を見てきたけど、確かに土地は魅力的」「他の土地と比較すると条件が良いので、他にとられたくない」と考える一方で、「この土地での建設費用がいくらになるのか心配」「金融機関の審査に無事通るか心配」「施工会社が完全に決定してない」などの側面もあります。

土地の申込みから決定までの流れ

買付証明書を提出してから土地の最終決定までの一般的な手順は以下の通りです。

STEP
買付証明書の提示

不動産会社や施工会社の書式による買付証明書の記入が必要です。この買付証明書は、窓口の不動産会社や売主に対して購入の意思を明確に示すために使用されます。

買付証明書には申込者や同居家族の氏名、住所、勤続先や勤務年数、年収などの情報を詳細に記載する必要があり、地域や会社により書式や項目は異なります。また、価格交渉が必要な場合は、希望の価格なども買付証明書に含めて交渉を進めます。

しかし、注意が必要なのは、交渉が不可能な案件や極端な価格交渉は売主側に悪い印象を与える可能性があるということです。そのため、不動産会社の営業担当や施工会社の営業担当に相談し、慎重に交渉を行うことが重要です。

売主側は、基本的には買付証明書の提示を受けた時点で他の不動産会社からの買付証明書による申し込みを停止するか、2番手での受付を受理するかの二択となります。

ただし、不動産会社や売主によって考え方は異なることもあります。

STEP
図面の制作とお見積り

買付証明書を提示した土地に基づいて施工会社に間取りの制作を依頼します。

また、図面が完成したら、見積もりの作成も急ぎましょう

なぜなら、土地の確定には金融機関の事前審査で必要な図面と見積書が必要だからです。

一般的に、大手のハウスメーカーなどは特殊なケースを除いて、図面制作や見積もりの算出がある程度マニュアル化されているため、比較的早い段階で準備が整うことでしょう。最短の目安では、2~3日ほどで準備が完了することがあります。

地元の工務店などでも、一般的には3日から1週間ほどの準備期間が必要となることが多いですが、個別の事情や工事の規模によって変動することもあります。

多くの方々が「2~3日の期間で図面や建物の仕様を決定するのは無理では?」と感じるでしょう。確かに、家族の要望を事前にまとめていたとしても、一度の作図で全員が満足する図面を作り出すことは難しいです。

実際に図面が出来上がると、「ここをもう少し変えたい」「やっぱり広くした方がいいのでは?」など、気になる箇所が出てくることはよくあります。特に、同居家族や親族など多くの人が関わる場合は、意見をまとめるのに時間がかかることもあります。

しかしこの段階での図面は最終決定ではありません。工事請負契約を結ぶ前や結んだ後でも、軽微な図面変更や建物の仕様を変更することは可能です。ただし、工事の規模や仕様によっては工事費も変動するため、基本的には事前に依頼する金融機関の審査範囲内に計画を合わせる必要があります。

後から図面や仕様を変更する可能性がある場合は、事前に追加の施工面積が増えるとどれくらい費用が増えるのか、具体的な設備の追加によって費用がどれくらいかかるのかを詳細に確認しておく必要があります。

さらに、建設費用は金融機関の事前審査の借入金額以内で足りるのかどうかも大切です。
予定よりも借入金額が高くなる場合、本審査で審査に落ちる可能性もあります。


また、自身が変更したい図面の技術的な面や、建築制限などの法令的な面で、「希望通り施工できるのか?」「できないのか?」「どんな問題があるのか」などを詳細に確認しておく必要があります。

後々の図面変更や仕様変更では、その時点で何らかの問題が発生することもあり施工会社とトラブルに発展することもありますので、事前の確認作業が必要です。

STEP
金融機関の融資事前審査

図面と見積もりが揃い、マイホーム建築の計画に納得できたら、金融機関の融資事前審査を行います。

一般的に、事前審査には申込者の身分証明書の写し(免許証など)と、会社員の場合は源泉徴収票の写し(3期分)で収入を証明する必要があります。

希望の金融機関や、施工会社などから紹介された金融機関との審査のやり取りは、通常は施工会社の営業担当者が代行してくれます。金融機関によって異なる場合もありますが、早い場合は約3日ほどで審査結果が出ることがあります。

融資事前審査は、住宅ローンの申請において重要なステップです。スムーズな手続きを進めるためには、必要な書類を事前に準備し、施工会社の営業担当者との連携を取りながら審査に臨むことが大切です。

STEP
購入者の最終的な意思決定

土地の選定が完了し、施工会社の提案にも満足し、金融機関の事前審査も通過したら、最終的な判断が求められます。

一般的に、図面が確定し、金融機関の審査が通れば、施工会社との工事請負契約が行われます。

しかし、工事請負契約後に「やっぱりやめた!」というのは、基本的にはNGです。

解約は可能ですが、建物や土地に関わる違約金の問題や、施工業者との話し合いが必要となります。

このようなトラブルは精神的・肉体的にも負担がかかりますので、迂闊な判断には注意です。

これまで、土地決定のプロセスを解説してきましたが、理想の土地を見つけた後は、意思決定までの時間が限られており、その間に多くの選択を迫られます。

後から変更可能な仕様や軽微な間取りの変更は、後回しにされることがよくあります。実際、全ての項目についてこの期間中に決定することは難しい現実もあります。

しかしながら、後で問題が生じる可能性を考慮せずに決定を先送りにすることは避けるべきです。

たとえば、変更によって生じる追加費用や問題点が後から明らかになることがあります。

自身の希望条件を満たせるかどうか、そして最終的な費用がどの程度になるのかをきちんと把握して、計画を進めていくことが重要です。

買付証明書の猶予期間と重要性

これまで、買付証明書の提示から最終的な意思決定までの流れを説明してきました。
その中で、買付証明書の提示から最終的な意思決定までの猶予期間は、不動産会社や売主によって異なるものの、一般的には約2週間程度とされています。

しかしこの期間をあまりにも引き延ばし、最終的に申し込みをキャンセルすると、売主や不動産会社にとっても不利益となる可能性があるため、軽率な判断での申し込みはおすすめできません。

また、判断に時間をかけ過ぎると、2番手の申し込み者が優先される場合や、最終的にキャンセルした場合に売主側や不動産会社との論争の可能性も出てきます。

なお、買付証明書は【仮の申し込み】ではなく、基本的には「購入者の意思は決定している」という前提で申し込みが受け入れられます。

しかし、土地が決まった時点では図面が完成しているわけではなく、金融機関の審査も必要です。

そのため、不動産会社や施工会社は買付証明書を提示し、「お客様の土地購入意思は決まっていますが、図面と見積の作成および金融機関の事前審査が完了するまでお待ちください」という意味合いで申し込みが行われます。

実際には、不動産会社や施工会社の営業担当者も、「少しでも気になるなら、まずは買付証明書を提示して土地を確保しましょう!」と提案することが多いでしょう。

土地を決定するには、土地候補の決定」「施工会社の決定」「金融機関の審査完了というステップが必要であることを念頭に置き、スムーズにマイホーム計画を進めていきましょう。

なぜ業者はすぐに買付証明書を書かせようとするのか?

確かに、営業マンからすると買付証明書は契約までのプロセスで必ず必要な項目です。
不動産会社や施工会社の営業担当者が早めに買付証明書を提案する理由は、以下のような要素があります。

お客様が気になっている土地を確保することができる

経験豊富な営業マンは、他の業者によって気になる土地が先に取られてしまうという経験を何度もしています。このような経験から、営業マンは買付証明書を早めに入れることで、お客様が検討している土地を確保しようとします。
私自身も過去に経験がありますが、営業マンやお客様のテンションが下がり、営業マンとしては「もし早めに申し込めば契約できたかもしれない」という後悔の感情を抱くこともあります。

また、図面や見積の提案をする前提であれば、時間をかけて図面や資料を作ることはリスクが伴います。なぜなら、他の業者に土地が取られる可能性があり、それに伴って該当の土地で提案する必要がなくなるからです。

社内営業が有利になり案件をスムーズに進められる

施工会社によっては、図面や見積の作成過程で社内の設計士や現場監督などとの確認作業や依頼が必要になります。
特に大手ハウスメーカーや大規模な企業では、営業担当者とは別の部署に所属しているため、契約の可能性が高い案件を優先的に進める傾向があります。

さらに、他の部署の設計や建築担当者も営業担当者と同じように、本気度合いが低くなる可能性があります。お客様からすると、このような会社に依頼することに不安を感じるかもしれませんが、この傾向は不動産や建築業界に限ったことではありません。現実的には、営業担当者や施工会社自体が契約の確率が高いと判断した案件を優先的に進めることで、社内の業務プロセスをスムーズに進めることができるのです。

営業マン自身の都合もありえる

例えば、営業担当者が契約確率の高い案件を保有していない場合、会社からの圧力がかかることがあります。買付証明書を提示している案件があれば、実際に契約できるかどうかは別として、社内的には契約確率が高い案件を保有していることになるので、見せ掛けだとしてもメンタル的には楽になれるでしょう。

また、買付証明書を通じてお客様の個人情報を確認できる点も、営業担当者にとってメリットがあります。来店時のアンケートや会話のやり取りではお客様の属性を十分に把握することは難しい場合がありますが、買付証明書を書いてもらうことで詳細に情報を確認できます。勤務先や年収、勤続年数などの確認を通じて、ローン審査の可否を予想することもできます。

これらの要素により、営業担当者は買付証明書の提案を急ぐ場合があります。ただし、これらは一部の営業マンに該当する事情であり、すべての営業マンが同様の動機を持って行動するわけではありません。

意思の薄い買付証明書の提示は、一部の営業マンの自己都合を除きお互いに不利益をもたらす可能性がありますので注意が必要です。

土地の申込みはどこを窓口にすると良いか?

土地の申込みはどこを窓口にすると良いか?【イメージ画像】

施工会社が1社に決まっていて、さらに施工会社からの土地紹介で満足する計画を立てられた場合は、基本的に施工会社や施工会社に関連した不動産会社に依頼すると良いでしょう。

土地の情報や確認事項など、計画段階から工事の開始までにさまざまな情報が必要となるため、施工会社と土地の購入窓口が密接な関係を持つことでスムーズに進めることができます。ただし、土地がなかなか見つからない場合は、他の不動産会社にも依頼することで土地情報が集まる可能性が高まります。

また、施工会社を1社に絞り込めないケースでは、他の不動産会社を窓口にした方が良いでしょう。

ハウスメーカーA社と工務店B社のどちらかで施工会社を決定する場合、不動産会社C社に土地の買付証明書を提示して申し込み、ハウスメーカーA社と工務店B社から図面と見積もりを取得し、どちらを選ぶかを検討します。

断る可能性のある施工会社から買付申込を行うと、施工会社を断った時点で土地の買付申込も基本的には白紙に戻ります。そのため、土地を継続して検討したい場合はややこしい状況になる可能性があります。

また、すでに2番手の申込みが入っている場合には、施工会社を断った時点で買付申込をキャンセルする必要があり、他の申込者が優先される可能性も考えられます。

買付証明書を提示する段階では、最大で2社までに絞り込んだ施工会社を選んでおくことが理想的です。検討する施工会社の数が増えると、限られた期間での判断が難しくなります。

理解を深め後悔しない計画を立てましょう!

理解を深め後悔しない計画を立てましょう!【イメージ画像】

これまでに、施工会社の候補を事前に決めなければ土地を決められない理由について解説してきました。

マイホーム計画で失敗する理由の大部分は、知識や理解の不足からくる期待の高まりや、現実とのギャップによるテンションの低下、そして後悔といった要素が関わっていることが多いのではないでしょうか。

自らが最低限の知識を持ち、リスク管理を考慮しながら計画を立てていくことが重要です。

【土地探し】や【施工会社選び】については、以下の記事でも詳しく解説しております。

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