住宅ローンは年収の何倍!?家を建てる予算の3つの決め方を解説!!

マイホーム計画で予算を決めるためには、大きく以下の2点が必要です。

  • 月々の返済額の決定
  • 自己資金の決定

さらに、月々の返済額を決めるためには、考慮すべき3つの目安があります。

  • 無理のない月々の返済可能な金額
  • 返済比率(最大でも25%以内が目安)
  • 年収倍率(5~6.5倍以内が目安)

返済比率や年収倍率は、住宅ローン審査においても重要な基準となります。

各世帯により、収入が一緒でもライフスタイルが異なり、支出も大きく異なりますが、返済比率と年収倍率の目安を参考にして、「自身の家庭ではいくらまで月々の返済が可能なのか?」を判断する必要があります。

自分の経済状況から返済可能な金額を明確にし、ローンを完済するための期間や金融機関からの融資額の目安を知ることが大切です。

また、自己資金や月々の返済額を決定するには、以下を把握しておくことも重要なポイントです!

  • マイホーム費用の全体像を把握する
  • 月々の住宅維持費を把握する

自己資金を決めるためには、建築費用の全体像を把握して、家具家電や引っ越し費用なども含み検討する必要があります。

また、月々の返済額を決めるには、固定資産税や光熱費、さらに将来的な修繕費用の積み立てなども考慮して、住宅ローンの返済額を検討する必要があります。

この記事では、予算の決め方と注意点について詳しく解説していきます。

目次

住宅建築の予算を決める3つの目安

住宅建築の予算を決める3つの目安【イメージ画像】

月々の返済可能金額を把握する

わかりやすい目安としては、現在の家賃額を参考にすることができます。日々の生活状況や経済的な余裕によって、返済額を家賃と比較して検討しましょう。さらに、住宅ローンの返済は、一般的に30年以上の期間をかけて返済していきます。長期的に考えて余裕を持った返済計画を立てることが最も大切です。

※返済額から借入可能額を算出するには、以下のサイトを利用すると無料で計算できます。
CASIOのローン計算サイト

以下では、返済可能金額を決める注意点を解説します。

返済可能金額を決めるときの注意点

マイホームの維持費を把握する

返済可能金額はマイホームの維持費として必要な固定資産税修繕費の積立金も含めて検討する必要があります。
しっかり把握しておかないと、すぐに返済計画が狂ってしまう原因になります。

新居での光熱費を把握する

光熱費も重要な要素です。特に賃貸住宅で生活している場合と新居で比較すると、ほとんどの場合に新居での光熱費は高くなります。現在の光熱費とマイホーム建築後の光熱費を比較し、増減の度合いを把握することが重要です。失敗を避けるためには総合的な判断が必要です。

世帯収入を当てにし過ぎない

昨今では共働き世帯が増えていますので、世帯年収で返済可能額を考える世帯が増えています。しかし、出産や育児、親の介護など、将来的に世帯収入を維持できない可能性は誰にでもあると言えます。収入合算で住宅ローンを利用する場合は、より余裕を持って返済可能金額を決定する必要があります。

年収倍率を考慮する

年収倍率は、年収に対する借入目安の指標で、一般的には5倍~6.5倍を目安に、借入期間に応じて返済比率を25%以内に抑えることが理想的です。

金融機関の審査でも、年収倍率という指標を考慮します。金融機関によって基準は異なりますが、最大で年収の8倍程度までの融資が可能です。

しかし、仮に年収500万円の世帯が8倍の4000万円を借入した場合、返済比率は25~30%程度になり、一般的には少し負担が大きい返済計画と言えます。

実際に4000万円を借りた場合、返済額はシミュレーションによると以下のようになります。

スクロールできます
期間金利返済額年収倍率返済比率
35年0.7%107,408円8倍25.7%
35年1.5%122,473円8倍29.3%
※年収500万円で4000万円を借入した場合

変動金利では、金利上昇のリスクも考慮しなければなりませんし、固定金利の場合でも返済比率(返済負担率)を25%以内に収めることが望ましいです。

特に、子育ての予定がある世帯は、返済期間により異なりますが、年収倍率を5倍~6.5倍程度に抑えることが望ましいです。

理想の年収倍率

期間30年の年収倍率

返済期間30年では、年収の5倍程度が理想的です。

スクロールできます
期間金利返済額年収倍率返済比率
30年0.7%77,011円5倍18.4%
30年1.5%86,280円5倍20.7%
※年収500万円で2500万円を借入した場合
期間35年の年収倍率

返済期間35年では、年収の6倍程度が理想的です。

スクロールできます
期間金利返済額年収倍率返済比率
35年0.7%80,556円6倍19.3%
35年1.5%91,855円6倍22.0%
※年収500万円で3000万円を借入した場合
期間40年の年収倍率

返済期間40年では、年収の6.5倍程度が理想的です。

スクロールできます
期間金利返済額年収倍率返済比率
40年0.7%77,648円6.5倍18.6%
40年1.5%90,081円6.5倍21.6%
※年収500万円で3250万円を借入した場合

返済期間30年では5倍程度、35年では6倍程度、40年は6.5倍程度の借入を目安にすることで、返済比率は20%前後に収まります。

返済比率(返済負担率)を考慮する

返済比率という指標も金融機関の融資目安として考慮されます。

返済比率は、20%以内が理想的で、最大でも25%以内に収めることが理想的です。

  • 返済比率=年間返済額÷額面年収×100

返済比率は年間返済額を額面年収で割った割合を示します。金融機関の審査基準では、一般的に30%~40%が最大とされていますが、30%でも少し負担が大きい計画と言えます。

返済比率の算出には、自動車ローンなどの既存の借入も含みますので注意してください。

返済比率が30%~40%の返済額は以下になります。

スクロールできます
年収月々返済額(返済比率30%)月々返済額(返済比率40%)
300万約75,000円約100,000円
400万約100,000円約133,000円
500万約125,000円約166,000円
600万約150,000円約200,000円
700万約175,000円約233,000円
800万約200,000円約266,000円
900万約225,000円約300,000円
1000万約250,000円約333,000円

返済比率は20%以内が理想で、最大でも25%程度に収めましょう。

スクロールできます
年収月々返済額(返済比率20%)月々返済額(返済比率25%)
300万約50,000円約62,500円
400万約66,000円約83,000円
500万約83,000円約104,000円
600万約100,000円約125,000円
700万約116,000円約146,000円
800万約133,000円約166,000円
900万約150,000円約187,000円
1000万約166,000円約208,000円

さらに、返済期間が短くなるほど年間の返済額が大きくなるので、返済比率は高くなることに注意が必要です。

返済比率の審査ポイント

金融機関の審査で返済比率を算出するには、現在の住宅ローン金利にさらにストレスを掛けて試算します。

審査では金利が上昇することも考慮して、審査金利を約3~4%程度の金利で試算する金融機関が多いですから、実際の返済と比べて返済額も返済比率も高くなる試算で審査を行います。

実際に予定している返済額での返済比率と、審査金利での返済比率は以下のように異なります。

スクロールできます
金利月々の返済額返済比率
実際の金利 0.5%103,834円約25%
審査の金利 3%153,940円約37%
※ 年収500万円(借入4000万円 期間35年 元利均等払い)のシュミレーションです。

金利が上がると返済額も上がるため返済比率も上昇します。

上記の場合では、審査金利の返済比率が37%なので、仮に40%が金融機関の目安上限と仮定するとギリギリとなります。

金融機関のローン審査では、審査金利を適用してシュミレーションして、返済比率が金融機関の基準内に収まっている必要があります。

※各金融機関により、住宅ローン審査の基準は異なります。

これまでに3つの考え方について解説してきました。

個人的には返済可能だと感じていても、年収倍率や返済比率が金融機関の基準を上回ってしまうと、借入が難しくなることがあります。

金融機関の基準範囲内に返済可能な金額を収めることが重要です。

マイホーム計画では、借入可能な金額ではなく、返済可能な金額で設定しましょう!

さらに、予算を決めるためには、自身の年齢に合わせた返済期間の設定や、経済状況に合わせた自己資金の準備も必要ですので、以下で詳細に説明していきます。

返済期間を考える

返済期間を考える【イメージ画像】

月々の返済可能な金額を把握したら、次に返済期間について考えてみましょう。

住宅ローンの返済期間は、一般的には35年ローンが最も多く、実際にも約7割の方が35年ローンを選択していると言われています。

また、近年では35年以上の住宅ローン商品も取り扱いが増えていて、40年ローンや最大では50年ローンを提供している金融機関もあります。

しかし、借入期間を延ばすことは、総利息が大きくなることや、完済の年齢が高齢になるなどのデメリットがあります。

返済期間を長くするメリットとデメリット

メリット

  • 月々の返済額を抑えられる
  • 予算を上げられる
  • 長い期間で団信を付保できる

デメリット

  • 総利息が大きくなる
  • 完済時年齢が高齢になりやすい
  • 担保割れしやすい

住宅ローンは、期間が短いほど負担が大きく、利息は少なくなります。

期間を長くすることで、月々の予算を抑えて建築資金の予算を上げやすくなりますが、最終的な利息支払いの額が大きくなり完済時の年齢も高齢になります。

また、期間を長くすることで元金の減りが遅くなりますから、住宅ローン残高よりも住宅の価値が低くなり、担保割れの状況になりやすいです。担保割れの場合、売却時や住み替え時には、売却金額だけでローンの返済が難しくなりますので注意が必要です。

自身の年齢と返済期間を考える

住宅ローンの返済期間は、月々の返済額に大きく影響します。 30歳未満の年齢であれば、35年の住宅ローンでも65歳で完済が可能です。

しかし、40歳で35年の住宅ローンを組んだ場合、完済時年齢は75歳になります。 70代でのローン返済は多くの人にとっては不安要素です。

以下では、40歳で住宅ローンを組んだ場合、35年と25年の返済期間で返済額とローン残高の比較を紹介します。
※借入金額3000万円、固定金利1.91%で試算しています。

年齢返済期間35年のローン残高
(月々の返済額:97,998円)
返済期間25年のローン残高
(月々の返済額:125,845円)
65歳約1060万円0円
70歳約550万円0円
75歳0円0円

40歳で35年のローンを組むと、65歳時点で残債は約1060万円にも上ります。定年後に1000万円以上のローン残債を抱えることになります。

一方で、65歳までの完済を目指すため25年のローンを組んだ場合、月々の返済負担は27,000円以上増えます。

この場合では、金融機関の返済比率が基準内に収まるかどうかが重要です。ただし、返済比率が基準内にあっても、無理な計画は後々後悔を招く可能性があります。

完済時年齢はできるだけ70歳以内に設定し、月々の返済額も安心できる金額に設定して、余裕がある時に繰り上げ返済を検討することが重要です。

また、退職金や将来の相続なども考慮に入れ、慎重に検討すべきです。

将来の不確定要素に備えながら、計画を立てて進めることが肝要です。

元営業マン

金融機関の完済時年齢は、一般的に75歳~80歳程度までと設定されています。

自己資金を考える

自己資金を考える【イメージ画像】

自己資金を決めるためには、以下の点に注意が必要です。

  • 住宅ローンでかまなえる範囲を把握する
  • 引っ越し完了までにかかる費用を把握する
  • 手付金を把握する

住宅ローンでまかなえる範囲を確認する

一般的に住宅ローンでまかなえるものとしては、

  • 土地購入費と諸経費
  • 建築費と諸経費
  • 地盤改良費用
  • 金融機関諸経費
  • 建物の施工会社に依頼する外構工事費

ローンでまかなえないものとしては、

  • 引っ越し費用やゴミの処分費
  • 新たに揃える家具家電の費用
  • 建物の施工会社以外に依頼する外構工事費や、自身で施工する外構工事に必要な材料費用など

※一部の金融機関では、引っ越し費用や家具家電の購入費用に対応しているケースもあります。
(利用を検討する際には、事前に確認が必要です)

引っ越し費用や家具家電の購入費

これらの費用は基本的には住宅ローンの範囲外ですが、一部の金融機関ではこれらを含めた融資商品を提供している場合もあります。しかし、基本的には自己資金の一部から支払う必要があります。

外構工事の費用

外構工事を住宅の施工会社にまとめて依頼する場合、その費用を住宅ローンに組み込むことができます。
しかし、「施工会社に頼むと金額が高い」「外構業者に知り合いがいる」「ゆっくり時間をかけて自分でやりたい」などの理由で、他の外構業者に直接依頼する方も一定数いらっしゃいます。

このようなケースでは、外構工事費にかかる費用の取り扱いが金融機関により異なります。(住宅ローンに含めることが可能な金融機関と、そうではない金融機関があります)

外構工事を別途依頼する場合は、基本的には建物の引き渡し後に直接業者に依頼することとなります。

この場合、外構工事には別途自己資金を投入するか、銀行からの別口で融資を受ける方法を検討することになります。※金融機関により、外構費用の扱いが異なります。

ただし、この場合の金利は住宅ローンよりも高くなることが一般的ですし、ローンが2本になりますので、現実的ではありません。計画を立てる前に金融機関や担当営業マンに相談することをおすすめします。

手付金で現金が必要になる

土地の売買契約や建築会社との請負契約を締結する際には、手付金が求められます。

この段階ではまだ住宅ローンを利用することはできませんので、一時的に現金が必要になります。この手付金は最終的に土地代や建築費と相殺されます。

また、フルローンで借入れを行う場合では、住宅ローンが実行される際に、一時的に現金で支払った手付金が融資実行により戻ってくることになります。

土地や建築会社によって手付金の金額は異なるため、候補となる土地や建築会社との詳細な打ち合わせを行うことが重要です。

不動産会社との土地売買契約の手付金は、土地価格の5~10%程度が一般的です。
施工会社との工事請負契約の手付金は、10万円~100万円程度が一般的です。


金融機関の事前審査に合格していれば、柔軟に対応してくれる業者さんが多いでしょう。

自己資金を決定する

自己資金を決定する【イメージ画像】

自己資金の割合が多ければ審査にも通りやすく、金利の優遇を受けられる金融機関もあります。

しかし、自己資金は昔から購入価格の1割~2割程度と言われてきましたが、現代ではフルローンを利用する世帯も増えてきましたし、金融機関でもフルローンに対応しているところは多くなりました。

お金への価値観は人それぞれです。例えば、500万円の預金は多いと感じる人もいれば、少ないと感じる人もいます。預金の有無によって将来的な不安を感じる方もいれば、自身の稼ぎやスキルに自信を持って預金を重要視しない人もいます。

また、現在では世界的にも様々な価値観の変化やインターネットの進化、そしてテクノロジーの進歩がハイスピードで進んでおり、世界情勢も大きく変動するでしょう。この中にはビジネスや投資のチャンスも含まれており、アイデアと資金さえあれば新たな事業を立ち上げることも容易になってきています。

住宅ローンの借り入れのハードルは比較的低いと言えますが、新たなビジネスや投資、自己のスキルアップのための借り入れは容易ではありません。

預金は確かに選択肢を広げることができますし、日々の生活において金銭的・精神的な余裕をもたらしてくれることは間違いありません。

ご家庭の状況や将来を見据えて、月々の返済額と自己資金の割合を考慮し、無理のない計画を家族で立ててください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次