住宅ローンは、「何を基準に選べばいいのか分からない…」と不安になる方も多いのではないでしょうか?
住宅ローン選びは、単に金利が低いものを選べばいいというものではありません。
「金利が低い=お得」とは限らないため、団信の保障内容を考慮しながら、トータルの費用で比較するようにしましょう。
さらに、ライフプランや家計、将来のリスクまでを考慮し、無理のない返済計画を立てることが何より大切です。
本記事では、住宅ローン選びで初心者が知っておきたいポイント、押さえておきたい比較ポイントを分かりやすく解説します。
- 住宅ローン選びで初心者が知っておくべき5つポイント
- 住宅ローンの比較で押さえておきたい3つのポイント
- まとめ:住宅ローンはどこで借りるのが得?
住宅ローン選びで初心者が知っておくべき5つポイント
1.表面的な情報だけでは住宅ローンの比較は難しい
住宅ローンの比較には、表面的な情報で比較できる点と、事前審査なしでは正確に比較ができない点があります。なぜなら融資条件は、金融機関の審査結果により異なるからです。
具体的には、審査次第で以下の点が異なります。
- 借入金利
- 融資可能額
団信の保障内容や諸費用、借入形態(連帯債務・ペアローン)は、表面的な情報から比較することができます。しかし、金利や融資可能額は、事前審査の結果次第でご家庭により異なります。
住宅ローン選びで失敗しないためには、表面的な比較で金融機関の候補を絞り込み、複数の金融機関に審査を依頼するようにしましょう。住宅ローンの審査結果を基に、ポイントを押さえながら比較することが理想的です。
2.モゲチェックは積極的に利用した方がいい
「モゲチェック
」は、簡単に住宅ローンの比較ができるサービスです。主な特徴は以下になります。
- 無料で利用
- ユーザー限定の優遇金利
- 金利や団信を簡単に比較
- ローン通過の確率を提示
- 登録した内容で複数の事前審査
- プロに相談できる
モゲチェック
を利用する大きなメリットは、比較が容易になり、ローン通過確率を提示してくることです。
主要な金融機関を含めて、20行以上の金融機関を簡単に比較できます。ローン通過確率を提示してくれるため、住宅ローンの候補を絞り込む作業が簡潔化できることが特徴です。
結果的に、条件の良い住宅ローンを見逃すリスクを軽減することができます。登録は10分程度で、デメリットもないため、登録しておくことをおすすめします。
モゲチェック
の詳細は、以下の記事でも詳しく解説しています。

3.効率的に住宅ローン候補を絞り込む方法
効率的に住宅ローンを探すには、基本的な利用条件に合う金融機関を絞り込み、その中でローン審査の通過確率が高い金融機関を見つけることです。
基本的な利用条件とは、各金融機関で定められている利用条件です。具体的には、以下のような項目があります。
- 年収(150~300万円以上)
- 在籍期間(1~2年以上)
- 完済時年齢(75~80歳程度)
- 契約形態(単独・連帯保証・連帯債務・ペアローン)
- 返済期間(35~50年)
金融機関により設定は異なりますが、希望条件に対して利用条件をクリアできる金融機関を探していきましょう。
住宅ローンは、購入先の営業担当者に任せっきりではなく、下図のように自身でも積極的に探すことが理想的です。

営業担当者だけに住宅ローン選びを任せるデメリットは、以下のような可能性があります。
住宅ローン選びを一任するデメリット
- 使いやすい金融機関を優先することがある
- 審査通過に心配があるローンは紹介しない
「審査に落ちる・減額される」という状況は、営業担当者の立場ではマイナス要素です。顧客のテンションは下がり、予算が適正なのか心配を生むきっかけになります。
また、使い慣れた金融機関は、効率的に業務を進捗できるため優先的におすすめする可能性もあります。
住宅ローンは、少しの金利差で100万円以上の利息差を生むことがあります。住宅ローン選びは、積極的に情報集を行い、最終的には自身にとって好条件の金融機関を選択するようにしましょう。
4.「借りられる金額」と「返せる金額」は違う
金融機関が提示する「借入可能額」は、あくまで年収などから算出された上限であり、実際の生活に無理のない返済ができるかどうかは別問題です。教育資金や老後資金、将来の収入減少リスクも踏まえたうえで「自分にとっての適正な借入額」を見極めることが重要です。
リクルートが運営する「保険チャンネル」では、無料でファイナンシャルプランナーに相談することができます。住宅ローン返済に不安のある方は、気軽に相談してみましょう。
住宅ローン・住宅購入に特化したFP無料相談
「保険チャンネル」の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
-300x200.png)
5.契約前に希望する住宅ローン審査を完了しておく
低金利の住宅ローンを前提で資金計画を組む場合は、工事請負契約の締結前に該当の住宅ローン事前審査を終わらせておきましょう。理由は、工事請負契約の締結後に、希望する金融機関のローン審査に通過できないこともあるからです。
以下では、契約締結までの流れを参考にしながら、具体的な例で解説します。
候補の土地が見つかった場合、他者に取られてしまう可能性があるため、土地の買付申込を入れます。
※土地購入の正式な判断までは、約2~3週間程度の猶予期間です。
不動産業界における買付申込は、「仮予約」ではありません。ローン審査に通過することが前提として申込を行うため、ローン審査の可否が決定するまでの期間が猶予されます。
詳しくは以下の記事で解説しています。

施工会社は、買付申込をした土地に対して図面・見積書を作成します。
※購入予定者は、計画を進めるかどうかの判断を行います。
土地購入費・建築費・諸費用を算出して住宅ローンの事前審査を行います。
施工会社が購入者と請負契約を締結するには、住宅ローンの事前審査に通過している必要があります。
※現金購入者の方は例外です。
施工会社の事前審査:提案の傾向
- 審査が緩い金融機関で審査する(住宅金融支援機構など)
- 審査回答が早い金融機関で審査する
上記のような提案は購入者の属性や企業により異なりますが、このような傾向がある理由には、以下のような事情があります。
- 買付申込の期間を長く設けられない
- 契約までの時間を短縮できる
- 審査落ち・減額承認を回避できる
買付申込で土地を確保する行為は、期間が長くなるほど断る際にトラブルに発展したり、2番手の申込みが優先されてしまうこともあります。
施工会社の立場では、請負契約を締結することが優先事項のため、審査が緩く回答が早い銀行を事前審査の金融機関として提案する傾向があります。
審査落ち・減額承認は、購入者の不安や購買意欲の低下につながります。
土地の売主側に、住宅ローン事前審査の承認が下りたことを報告して、正式に進めることを伝えます。
施工会社は、工事請負契約書を作成して、購入者と契約を締結します。
※契約締結後に、利用する住宅ローンの変更は可能です。
施工会社の営業担当者は、「着工前なら金融機関を変更できる」という安心感を与えて、正式な金融機関の選択を後回しにするケースもあります。
契約締結後は、違約金などの問題も含めて購入者の立場が弱くなります。
以下の項目に該当する場合には、特に注意しておきましょう。
- 自己資金が1割以下
- 借入希望額が年収の6倍以上
審査が緩い金融機関で事前審査を行う場合、低金利を提供するメガバンクやネット銀行では、思ったより借入が出来ない(減額承認)ケースも珍しくありません。
住宅ローンの比較で押さえておきたい3つのポイント
1.住宅ローンの総費用で比較する
住宅ローンの金利や諸費用は、借入する金融機関により異なります。金利の低さだけで判断するのではなく、借入に伴う諸費用や利息の総支払額をトータルした費用で比較するようにしましょう。
住宅ローンに関連する費用は、一般的に以下の項目になります。
- 融資手数料
- 保証料
- 団信の保険料
- 月々の利息(借入金利)
- 印紙税
- 登録免許税
- 登記費用
- 不動産取得税(購入金額による)
上記の中で、印紙税・登録免許税・登記費用・不動産取得税は、どこの金融機関を選んでも費用感に大差はありません。
ただし、融資手数料・保証料・団信の保険料・借入金利は、金融機関により費用感が大きく異なります。各金融機関の一般的な特徴を以下にまとめました。
費用項目 | フラット35 | ネット銀行 | 都市銀行・地方銀行 | 信用金庫・信用組合 |
---|---|---|---|---|
融資手数料 | 0.8~2.2%程度 (銀行窓口により異なる) | 借入額の2.2%程度(定率型が主流) ※定額型の金融機関もあり | 3万円~6万円ほど (定額型が主流) | 3万円~6万円ほど (定額型が主流) |
保証料 | なし | 原則不要 | 借入額×約2.0%程度 (一括or金利上乗せが主流) | 借入額×約2.0%程度 (一括or金利上乗せが主流) |
団信 | 通常の団信は、金利に含まれていることが一般的。 保障内容を充実(三大疾病・がん保障など)させるには、0.2~0.3%程度の金利上乗せ。 ※フラット35のみ、団信への加入は原則「任意加入」です。 | |||
借入金利 | 高め (全期間固定) | 低い | 低め | 普通 |
審査基準 | 緩め | 厳しめ | 普通 | 緩め |
融資手数料・保証料
融資手数料とは、借入をする際に金融機関に支払う手数料です。保証会社を利用する金融機関では、貸し出した資金の回収リスクが低減するため、融資手数料は低額で設定されている傾向があります。
一方で、保証会社を利用しない金融機関では、借入金額に対して2%前後の融資手数料がかかることが一般的です。
保証料は、一括払いと金利上乗せを選択できることが一般的で、一括払いのほうが安くなります。
団体信用生命保険
団信は、大きく分けると3種類に分類できます。
- 一般団信
- ワイド団信(加入条件が緩和された団信)
- 疾病団信(がん保証・3~8大疾病など)
一般団信の保険料は、借入金利に含まれていることが一般的です。
保障内容を充実するために疾病団信に加入するケースや、健康状態によりワイド団信に加入する場合は、0.2~0.3%ほど金利が上乗せされます。
金融機関により、保障内容や金利上乗せ利率が異なるため、ご家庭に合わせた保障内容で金利負担を比較するようにしましょう。
借入金利
借入金利は、ネット銀行が最も低金利です。手続きがすべてオンラインで完結するのが魅力ですが、対面の相談ができない金融機関が多いため、ある程度リテラシーがある人に向いています。
また、ネット銀行は都市銀行や地方銀行と比較しても、審査が厳しい傾向があります。ローン審査は通過しても、希望金額まで借入できないケースがあるため、事前に審査を依頼しておくことが理想的です。
諸費用と総利息額の合計で比較する
前述で解説したように、金融機関や団信の保障内容により、諸費用や最終的な借入金利は異なります。諸費用と利息の総支払額を合計して、住宅ローンを比較するようにしましょう。以下では、具体的な例を紹介します。
項目 | A銀行 (返済期間35年) | B銀行 (返済期間35年) |
---|---|---|
借入金額 | 5,000万円 | 5,000万円 |
借入金利 | 0.75% | 0.65% |
諸費用 | 100万円 | 150万円 |
総返済額 | 5,687万円 | 5,592万円 |
返済額+諸費用 | 5,787万円 | 5,742万円 |
借入金額に対して、諸費用と返済予定の利息額を合計して考えることで、費用的にどちらが得な住宅ローンなのか比較が容易になります。
繰り上げ返済を視野に入れている場合は、繰り上げ返済時にかかる手数料の有無も金融機関により異なります。ご家庭の状況を考慮しながら判断するようにしましょう。
2.借入期間と利息を比較する
近年は住宅価格の高騰に伴い、40年や50年ローンを提供する金融機関が増えています。返済期間の長い住宅ローンは、月々の返済負担が軽減されるため、有効的に利用すれば住宅の選択肢を広げることができます。
ただし、期間を長くすることで元金が減りづらく、利息の支払いが大きくなります。
借入期間 | 利息の合計額 (5,000万円の借入) |
---|---|
(金利0.8%) | 35年約735万円 |
(金利0.8%) | 40年約845万円 |
(金利0.8%) | 50年約1,069万円 |
共働きや昇給により将来的な収入増加が見込める場合は、計画的な繰り上げ返済を活用しながら、利息支払いを軽減することができます。
返済期間を長くする場合は、ライフプランや繰り上げ返済の計画を考慮しながら、無理のない返済計画を立てるように心掛けましょう。
40年・50年ローンの注意点や繰り上げ返済については、以下の記事で詳しく解説しています。


3.共働き世帯の住宅ローン契約形態
お互いの収入を合算して、住宅ローンを利用する共働き世帯は増えています。共働き世帯では、3つの契約形態があります。
- 連帯保証型
- 連帯債務型
- ペアローン
「連帯保証型」は取り扱う金融機関が多く、「連帯債務型」と「ペアローン」は取り扱う金融機関が限られます。
収入合算の住宅ローンは、借入の契約形態により住宅ローン控除・団信の保障範囲が大きく異なります。それぞれの特徴を以下にまとめました。
契約形態 | 単独ローン | 連帯保証 (収入合算) | 連帯債務 (収入合算) | ペアローン (お互いが債務者) |
---|---|---|---|---|
債務者 | 夫婦どちらか | 夫婦どちらか | 夫・妻 | 夫・妻 |
配偶者の立場 | ー | 連帯保証人 | 連帯債務者 | 債務者 |
住宅名義 | ローン名義人 | ローン名義人 | 夫・妻 | 夫・妻 |
事務手数料 | 1契約分 | 1契約分 | 1契約分 | 2契約分 |
住宅ローン控除 | ローン名義人 | ローン名義人のみ | 夫・妻 | 夫・妻 |
団信の加入 | ローン名義人 | ローン名義人 ※ | 夫(主債務者) ※2 | 夫・妻 ※3 |
夫婦連生団信 | ー | なし | ※4 | ありあり ※5 |
※2連帯債務者(妻)に万が一のことが起こっても住宅ローンは残る
※3それぞれの持ち分に対して保険が適用される(片方のローンは残る)
※4一部の金融機関でローン商品を提供(複数あり)
※5一部の金融機関でローン商品を提供(paypay銀行・みずほ銀行・auじぶん銀行)
共働き世帯の住宅ローン控除
夫婦で住宅ローン控除を受けるためには、連帯債務・ペアローンのどちらかの契約形態を選択することになります。連帯保証型の住宅ローンでは、控除を受けられるのはローン名義人(通常は夫)のみになるので注意が必要です。
住宅ローン控除の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
また、連帯債務を取り扱う金融機関は、以下の記事でまとめています。
共働き世帯の夫婦連生団信
夫婦連生団信とは、夫婦二人で加入できる団体信用生命保険です。夫婦のどちらかに万一のことがあった場合、住宅ローンの残債が保険金により返済される仕組みです。
夫婦連生団信の特徴
- 妻にも団信を付保できる
- 金融機関の選択は狭くなる
- 一般的には金利上乗せがある(0%~0.3%程度)
通常の団信では、妻に万一のことがあっても、住宅ローン返済が残ってしまいます。特に子育て世帯では、ローン返済の負担が大きくなる可能性があります。ほかの生命保険なども考慮しながら、慎重に選択するようにしましょう。
夫婦連生団信を取り扱いう金融機関は、以下の記事でまとめています。
まとめ:住宅ローンはどこで借りるのが得?
住宅ローンは、各世帯の属性・予算・団信の保障内容により、金融機関の融資条件は異なります。
どこで借りることがお得なのかは、各ご家庭の希望や審査結果により異なるため、一概には言えません。
以下のように、住宅購入の総費用を算出して比較するようにしましょう。
住宅購入の総費用
- 自己資金+借入元金+利息合計+諸費用-住宅ローン控除額=住宅購入の総費用
住宅ローンは、「金利が低い=お得」とは限りません。
団信の保障内容を考慮しながら、トータル費用を比較して判断することが大切です。
住宅ローン選びの手順
- 単独or収入合算を判断
- 住宅ローン候補を絞り込む
- 団信の保障内容を比較
- 事前審査を依頼する
- 金利と諸費用を比較
- トータル費用を比較して判断
比較する作業は大変ではありますが、モゲチェック
も利用しながら、効率的に比較していきましょう。
また、「審査に落ちたら恥ずかしい」「減額されたら恥ずかしい」などの気持ちは、できるだけ捨てるようにしましょう。少しの金利差は大きな利息になります。
好条件の住宅ローンを見つけるためには、妥協せずに比較して選択肢を広げることです。
そのためには、情報収集、シミュレーション、必要に応じて専門家への相談といったステップを踏むことが有効です。