【ローコスト平屋で一人暮らし】人気の理由と注意点！

「一人暮らしで家を建てるなんて、無理に決まってる…」そう思っていませんか？

実は今、ローコストで建てられる平屋の戸建てが、一人暮らしの新たな住まいとして注目されています。

国の統計を見ても、平屋住宅の着工数はこの10年で約2倍です。その背景には、世帯人数の減少や、コロナ禍をきっかけとした郊外移住・在宅時間の増加など、私たちの暮らし方そのものの変化があります。

この記事では、一人暮らしに平屋が向いている理由や、実際の建築コスト、人気の「ローコスト住宅」の仕組みまで、わかりやすく解説します。

これから一人暮らしを考えている方や、家賃並みでマイホームを実現したい方は参考にして下さい。

なぜ今「ローコスト平屋」が一人暮らしに選ばれているのか？

近年、平屋の住宅需要は増えています。国土交通省の「建築着工統計調査」によると、2024年度の平屋着工数は、55,724件です。10年前と比較すると約2倍ほど増加しています。

	2024年度 （着工件数）	2014年度 （着工件数）
平屋 （木造）	55,724件 （17.1％）※	28,550件 （7.7％）※
1~3階建 （木造）	325,535件	368,554件

木造の平屋住宅は、10年前で木造住宅全体の約8％です。2024年では約17％まで上昇しています。

この需要に対応して、ハウスメーカーや工務店も、平屋住宅に力を入れている企業が目立ちます。一人暮らしの住宅選びにおいても、「ローコスト平屋」が注目されています。

平屋 × ローコスト住宅の注目度が高まっている背景

平屋住宅の需要が増えた一番の理由には、世帯人員の減少が関係していると考えられます。

さらに、コロナ禍以降、「在宅時間の増加」や「郊外への移住志向」が高まったことで、自宅の快適性がより重視されるようになりました。

世帯人員の減少で平屋が増えている

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、2023年度の独身世帯・夫婦のみ世帯の合計は、全体の58.6％です。

10年前の2013年と比較すると、約450万世帯も増えており、8.9％上昇しています。

	2023年度 （世帯の割合）	2013年度 （世帯の割合）
独身	34％	26.5%
夫婦のみ （子なし）	24.6%	23.2％
合計	58.6%	49.7%

郊外移住や在宅時間の増加

コロナ禍以降、リモートワークを取り入れる企業が増えて、業種によって働き方が大きく変わりました。「在宅時間の増加」や「郊外への移住志向」が高まり、さらに平屋住宅の需要を後押したことが考えられます。

• 郊外は土地の値段が安い
• 賃貸よりも広くて快適な住まいを持ちたい
• 無理なく手の届く範囲でマイホームを叶えたい

とくに、首都圏などの土地価格が高い地域では、経済面や暮らしやすさを優先して、移住を検討する方もいるでしょう。

このようなニーズが急増し、ローコストで建てられる平屋住宅への注目が集まっています。

女性やシニアにも人気の理由とは？

ローコスト平屋は、女性の一人暮らしやシニア層からの人気も高いです。

• ワンフロアで完結する暮らしが安心・安全
• 小さくても自分好みにデザインできる自由度
• 戸建てなので上下階の騒音トラブルがない
• 郊外なら総工費も安価

「老後は、落ち着いた戸建てでのんびり暮らしたい」「自分だけの空間を持ちたい」そんな想いを、ローコスト平屋が叶えてくれるのです。

一人暮らしに平屋が向いている5つの理由

「一人で住むのに平屋って広すぎない？」と思うかもしれませんが、実は一人暮らしにこそ最適な住まいです。その理由を5つに分けて詳しく紹介します。

生活動線がシンプルで暮らしやすい

平屋の魅力は、なんといってもワンフロアで完結する暮らしです。すべての部屋が同じフロアにあるため、移動がとにかくスムーズになります。

また、一人暮らしの場合は、プライベートスペースに配慮する必要性もないです。効率的な動線でストレスのない生活スタイルを実現できます。

掃除・メンテがラク！老後も安心のバリアフリー

一人暮らしにとって、日々の掃除や管理の手間を減らせるかどうかは重要なポイントです。

また段差が少ないバリアフリー設計の家が多いため、将来的にも安心して長く住めます。

耐震性・安全性が高いから女性にも安心

平屋は構造的に重心が低く、地震に強いという大きな特徴があります。
建物の揺れが少なく、倒壊リスクも低いため、安全性を重視する方には大きな安心材料です。

自分好みにカスタマイズしやすい

一人暮らしの平屋は、コンパクトであるぶん自由度が高いのも魅力のひとつです。注文住宅の場合も、2階とのバランスや、通し柱の位置も考慮する必要はありません。

また、自身の意見を全て取り入れることができる点も魅力です。

建築コストを抑えながら理想の暮らしを実現できる

1人暮らしの平屋は、二階建てに比べて施工面積が小規模になるため、コストを抑えやすいのが特長です。
無駄のない間取りにすれば、少ない予算でも自分らしい住まいが手に入ります。

ただし、1坪あたりの坪単価は、総2階建てに比べると割高です。

• トイレ・キッチン・浴室・洗面所は必要
• 居住部分に対する基礎と屋根の面積が広くなる

平屋住宅は、建物が小さくなることで建築費全体が安くなりますが、小さくなるほど1坪当たりの単価は高くなります。

ローコスト平屋で一人暮らしは本当に可能？

「一人暮らしで家を建てるなんて、現実的じゃない」と思っている人は多いですが、ローコスト平屋での一人暮らしは十分可能です。

ローコスト住宅とは？安さの仕組みを知ろう

ローコスト住宅とは、建築費用を可能な限り抑えて建てられる住宅のことです。
主に以下のような工夫によってコストを抑えています。

• 設備や仕様はグレードを抑えている
• 規格住宅の場合は設計費や施工費を削減
• 大量仕入れや自社工場による部材のコストカット
• 広告や営業費を抑えて販売価格に反映

その結果、一般的な注文住宅に比べて数百万円単位で安く建てられることが可能になります。

一人暮らし向け平屋の建築費用の相場

一人暮らし用の平屋住宅は、建物の広さが12〜25坪程度の広さが目安です。

建築費の相場は、建物本体価格で800万円~1,500万円くらいが目安です。地域に密着した工務店では、より低価格な商品を提供してるケースもあります。

住宅を建てる場合は、建物本体価格のほかに、付帯工事費や諸費用（登記・ローン費用・火災保険など）もかかります。一般的な目安は、以下になります。

項目	価格の参考値	本体価格：1,000万のケース （20坪の想定）
本体価格	坪単価×施工面積	1,000万円（20坪）
付帯工事費	本体価格の20~25％前後	200万円（20％）
消費税	本体＋付帯×消費税率	120万円（10％）
諸費用	本体＋付帯×5~10%前後	84万円（7％）

本体価格が1,000万円程度の場合、土地購入費を除いて約1,400万円くらいは掛かることが一般的です。

土地購入費が1,000万円以内で収まると仮定した場合、資金計画の目安は以下になります。

項目	詳細
計画の総額 （土地建物・諸費用）	2,400万円
自己資金	100万円
借入金額	2,300万円
返済金額 （35年：金利0.7％）	月々61,759円

ローコスト住宅メーカーを活用すれば、家賃並みのローン返済額でマイホームが持てるというケースもあります。

土地込みで1000万円以下は現実的？注意すべきポイント

「土地込みで1000万円以下って現実的なの？」という疑問もあるかと思います。

この問いに答えるなら、難しい可能性が高いです。もちろん、断定はできませんが、具体的な理由は以下になります。

小さ過ぎる家は割高

例えば、どんなに家を小さくしても、給排水の引き込み工事の距離はそれほど変わりません。小さくするほど、本体価格に対する付帯工事の利率が高くなります。

仮に、600万円くらいの本体価格であっても、付帯工事や諸費用・消費税を加えると、1,000万円近い金額になる可能性があります。

安い土地は建築費が割高

地域によって安い土地はありますが、安す過ぎる土地には建築費が高くなる要素があるケースも多いです。

• 造成工事やインフラ整備が別途必要なケース
• 地盤が弱く改良工事が必要
• 道が狭く大型車や重機が入れない
• 人里離れ過ぎて人件費が足りない

上記のように、安過ぎる土地は建築条件が悪い傾向があります。

建築地を所有している前提であれば、1,000万円の予算が現実的になるラインです。

ローコスト平屋：注意点とデメリット

ローコスト住宅は魅力的な選択肢ですが、「安さ」には理由があります。事前に知っておくべき注意点をいくつか解説します。

土地条件によって費用が変動する

建物が安くても、土地の価格や地盤の状態によって総費用が大きく変わることがあります。

• 地盤改良が必要 ：50万円〜100万円以上の追加費用
• 都市部の狭小地：高額な土地代＆設計制限
• インフラ未整備の土地： 上下水道の引き込み費用が発生

安い土地ほど、付帯工事が高くなる可能性があります。土地と建物込みの総額で比較しましょう！

安さだけで決めると「性能・快適性」が犠牲に…

ローコスト住宅では、断熱性能や耐震性、設備グレードを抑えていることが多いです。
そのため、以下のようなリスクが考えられます。

• 冬は寒く夏は暑い ：光熱費が高くなる
• 安全性に不安：台風や地震でダメージを受けやすい
• メンテナンス ： 外回りや設備のメンテナンス頻度が短縮する可能性あり

光熱費や、地域の特性も考慮して検討するようにしましょう。

年齢が若いとライフプランを立てにくい

1人暮らしで住宅を購入する場合、将来的なライフプランを明確にしておく必要性があります。

とくに、20代や30代前半では、仕事や日々の生活、または家族に対する価値観が大きく変わる可能性も否定できません。購入する地域や建物規模は、仕事面や生活感を長い目で考えて、慎重に検討するようにしましょう。

また、住み続けることができない最悪のケースも考慮して、「売買や賃貸の目線で需要があるのか？」などの出口戦略も考えておきましょう。

50㎡以下の建物は減額措置が使えない

小規模な住宅を建てる場合、以下の２つの軽減措置について把握しておきましょう！

• 新築住宅に係る税額の減額措置（床面積50㎡以上）
• 住宅ローン減税（床面積50㎡以上）
  ※令和7年12月31日まで40㎡に緩和（住宅ローン減税のみ）

新築住宅の軽減措置は、建物の固定資産税が軽減される制度です。床面積が50㎡未満は軽減措置がありません。

住宅ローン減税は、借入金額によって所得税や住民税を控除できる制度です。床面積が50㎡未満は減税措置がありませんが、現在は40㎡以上の要件に緩和されています。

詳しい概要は、以下の記事で解説しています。

住宅会社選びは「規格住宅」「自由設計」の違いに注意

ローコスト住宅には、「あらかじめ間取りや設備が決まっている規格住宅」と、自由に設計できる自由設計の2タイプがあります。

タイプ	メリット	デメリット
規格住宅	安くてスピーディー	間取り・仕様の自由度が低い
自由設計	自分好みにカスタム可能	費用が高くなりやすい

コスト重視なら「規格住宅」、こだわり重視なら「自由設計」がおすすめです。両方に対応している会社もあるので、比較して選びましょう。

ローコスト平屋が得意なおすすめ住宅メーカー9選

ここでは、一人暮らし向けの平屋住宅を提供している住宅メーカーを紹介します。

本体価格1000万円以下の住宅メーカー4社、1000万円以上の住宅メーカーは5社です。

ローコスト平屋：本体価格1,000万円以下

地域に密着した工務店などは、ほかにも価格を抑えた平屋住宅を販売している企業があります。

ローコスト住宅を気軽に探したいなら、スーモカウンターを利用するのも一つの方法です。まずは専門アドバイザーに相談するので、しつこい営業を受ける心配がありません。

カタログを探したいなら「LIFULL HOME'S」「SUUMO注文住宅」でも、ローコスト住宅の情報が豊富です。

ローコスト平屋：本体価格1,000万円以上~

ローコスト平屋でよくある疑問

初めて家を建てる方にとって、「本当にそんなに安く建てられるの？」「ローンは組める？」など、不安や疑問はつきものです。ここでは、ローコスト平屋に関するよくある質問に、わかりやすく解説します。

本当に300万円台で家は建てられるの？

総額で300万円は難しいです。実際の総額は、どんなに安くても700万〜1,000万円前後になるケースが一般的です。

また、本体価格が300万円台の商品は、「家と呼べるのか？」「小屋と感じるのか？」意見はそれぞれ異なるでしょう。

• 無印良品の小屋
• casa cago
• BESS

セカンドハウスや小型の別荘であれば良いかも知れません。

一人暮らしには何坪が最適？

15坪〜22坪くらいがちょうどいい広さです。ワンルーム感覚で暮らせる15坪から、書斎や趣味部屋も確保できる22坪まで、ライフスタイルに応じて選ぶのがおすすめです。

ローンは組める？自己資金はどれくらい必要？

ローコスト住宅でも住宅ローンの対象になるため、フルローン（全額借入）も可能な場合があります。
ただし、契約金や諸費用は現金での支払いが必要なこともあり、目安として100万〜200万円程度の自己資金を用意しておくと安心です。

※2025年4月時点では、40㎡未満は住宅ローン控除が使えません。

まとめ：ローコスト平屋の一人暮らしはライフプランが大事

ローコスト平屋は、「一人暮らし＝賃貸」というこれまでの常識をくつがえす選択肢です。予算を抑えながら、自分らしい理想の暮らしを叶える住まいとして、今注目を集めています。

しかし、年齢が若過ぎると、ライフプランを立てることが難しい側面もあります。

以下では、メリットとデメリットをまとめました。

メリット	デメリット
資産になる 賃料を払う必要がない 自分らしい暮らしができる 生活の質が向上する	ライフプランの変化に対応できないリスク 住宅ローン減税が利用できないことも 固定資産税の軽減措置が利用できないことも 郊外で計画する場合は出口戦略も必要

ローコスト平屋は「小さく建てて、豊かに暮らす」という考え方を体現する住まいといえます。

とくに、老後までの人生設計が見え始める40代~50代、またはシニア層にとって選択肢の一つになるでしょう。

メリット・デメリットをしっかり把握しながら、将来のさまざまな選択肢を考慮して計画を進めるようして下さい。